グレープフルーツ(ジュース)と薬剤との相互作用が明らかとなったのはどうしてですか?

1989年、カナダ、オンタリオ州にあるビクトリア病院のBailey博士らは飲酒(アルコール摂取)が、 カルシウム拮抗薬であるフェロジピンの薬物作用や 体内動態にどのような影響を及ぼすかを検討していました。


彼らは、フェロジピンとアルコールの相互作用に関する臨床試験(*1)を 実施するために、正常高値血圧の患者にアルコールおよびフェロジピン(5 mg)を服用してもらいました。
薬剤の服用時にアルコールの存在を患者に分からせないため、また口当たりをよくするために、 グレープフルーツジュース(アルコールを含有したものおよび含有していないものの2種を調製) を飲用してもらいました。
しかし、奇妙なことにアルコールの併用、 非併用にかかわらずフェロジピンの血漿中濃度が過去に報告されている通常値より 3 倍高いことが明らかとなったのです。
アルコール摂取時において、フェロジピンの血漿中濃度測定に 問題が生じたのではないかと定量方法が精査されましたが特に問題がないことが明らかとなりました。
他の唯一の要因としてグレープフルーツジュースがフェロジピンの体内動態に影響を及ぼしたのではないかと考えられ、グレープフルーツジュースのみの直接的な影響を検討(*2)したところ、 原因はグレープフルーツジュースの飲用であったことが判明しました。


(*1) Bailey DG, Spence JD, Edgar B et.al., Ethanol enhance the hemodynamic effects of felodipine. Clin.Invest.Med.12:367-362,1989(PMID: 2612087)

(*2) Lown KS, Bailey DG, Fontana RJ, Janardan SK, Adair CH, Fortlage LA, Brown MB, Guo W, Watkins PB. Grapefruit juice increases felodipine oral availability in humans by decreasing intestinal CYP3A protein expression. J Clin Invest. 99(10):2545-53,1997(PMID: 9153299)