tag:blogger.com,1999:blog-33284225163564788812024-03-13T12:15:35.796+09:00かるぐれこのサイトは、国内の医師・薬剤師等の医療関係者を対象に、医療用医薬品や医療機器等を適正に ご使用いただくための情報を提供しています。 一般の方および国外の医療関係者に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。 This website provides physicians, pharmacists, and other medical professionals in Japan with information on the proper use of prescription drugs and medical devices. As such, the information provided on this website is not intended for use by the general public, or by medical professYG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comBlogger25125tag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-65223203710298475612018-11-07T22:51:00.000+09:002018-12-02T00:55:00.532+09:00グレープフルーツ味の飴、アイスクリーム、お酒などでもカルシウム拮抗薬との相互作用は起こりますか?グレープフルーツに含まれている相互作用の原因成分はフラノクマリン類です。<br />
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それぞれの食品に記載されているグレープフルーツの含有%を用いて100%グレープフルーツジュースの何mLを摂取したことになるか計算すれば、ゼリー、飴、アイスクリーム、お酒などを食した場合に摂取されたフラノクマリン類の量は推定することが出来ます。</div>
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<br /></div>
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たとえば、「2%グレープフルーツ含有のゼリー」を100g食した場合、100g(100mLと考える)×0.02で2mLグレープフルーツジュースということになります。</div>
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上記例の摂取量2mLがどの程度の相互作用を引き起こすのでしょうか。</div>
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グレープフルーツ(ジュース)とカルシウム拮抗薬の相互作用について、いくつかの臨床研究の報告がありますが、その殆どが100%グレープフルーツジュースをコップ1杯程度飲用したときのデータです。</div>
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少量のグレープフルーツジュース飲用時のデータはありません。</div>
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<br /></div>
少量であれば、カルシウム拮抗薬との相互作用は起こらないと予測されますが、グレープフルーツの影響にもかなり個人差があるので、併用する薬の種類や相互作用を危惧する薬物の副作用の症状と程度、高齢者などなど、個別の状況を考慮して柔軟に対応することが重要です。<br />
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<br /></div>
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ちなみに、グレープフルーツ風味を謳う食品は、グレープフルーツ果汁を使用していないものがほとんどです。香料を使用してグレープフルーツの味と匂いを再現しています。もちろん、グレープフルーツ無果汁の食品であれば、相互作用をおこしません。</div>
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<br /></div>
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果汁を含む加工食品の場合、加工食品の品質規格を表すJAS法では、原材料に【果汁】と記載するように定めているので、商品に記載されている原材料名を確認しましょう。<br />
<br /></div>
<div class="amakuri-default" style="line-height: 1.5em; margin-bottom: 10px; overflow: hidden; text-align: left;">
<div class="amakuri-default-image" style="float: left; margin: 0 20px 0 0;">
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<div class="amakuri-default-desc" style="_zoom: 1; overflow: hidden;">
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Posted with <a href="https://dadadadone.com/amakuri/" target="_blank">Amakuri</a> at 2018.11.7</div>
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YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-7855106746354665302018-10-31T23:08:00.001+09:002018-10-31T23:08:40.728+09:00グレープフルーツをそのまま食べる場合とジュースで摂る場合、相互作用はどの程度違いますか?<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiFFpo__zTuVFjAJjX-3gX_eEteIBP-zON3CTS8o220jKOHgYoPWVQcOO1-11niEVVDSA3Up2JIz5Caq_xXpsEKSBRYDQqfgyj4mcHpLvmWCn2gkOvHM5Mid1bq5iw_0YwzoS7xBtcc1l8/s1600/%25E3%2581%258B%25E3%2582%258B%25E3%2581%2590%25E3%2582%258C74.png" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="731" data-original-width="1600" height="292" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiFFpo__zTuVFjAJjX-3gX_eEteIBP-zON3CTS8o220jKOHgYoPWVQcOO1-11niEVVDSA3Up2JIz5Caq_xXpsEKSBRYDQqfgyj4mcHpLvmWCn2gkOvHM5Mid1bq5iw_0YwzoS7xBtcc1l8/s640/%25E3%2581%258B%25E3%2582%258B%25E3%2581%2590%25E3%2582%258C74.png" width="640" /></a></div>
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グレープフルーツ1個分の果肉からミキサーを用いて作製したジュースを飲用した場合、つまりグレープフルーツの果実を摂取したと考えられます。<div>
これと、市販のグレープフルーツジュースを250mL飲用した場合とで相互作用強度を比較した報告では、同程度の血中濃度の増加が示されています。</div>
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<br /></div>
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<br /></div>
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またグレープフルーツの果実とグレープフルーツジューと含まれる相互作用の原因物質となる各種フラノクマリンの量を比較したところ、グレープフルーツ半球~1個とグレープフルーツジュース250mLに含まれる各種フラノクマリン類の含有量が同程度であったとの報告があります。</div>
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<br /></div>
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<br />これらのことを考えると、果実半分~1個を摂取した場合は、ジュース250mL飲用した場合と同程度の相互作用が起こると考えられます。</div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-59270399932928409522018-10-31T22:46:00.002+09:002018-10-31T22:54:21.157+09:00グレープフルーツの種類により、相互作用の程度に違いがありますか?<h3>
グレープフルーツの種類</h3>
まずグレープフルーツの種類についてまとめておきましょう。<br />
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グレープフルーツは果肉の色により、ホワイト種、ピンク種、ルビー種などに分類され、一般に赤肉系のほうが、甘みが強いようです。</div>
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マーシュ(別名:ホワイト) 、トムソン(別名:ピンクマーシュ)、ルビー、スタールビー、オロブランコ(別名:スィーティー)などが知られています。</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgetgwsaC8n4tYuLYfnCWGmjdoLCsKFlrBugAwVAxZ13uIRitJ-KEiwrsKvxZYOqAGD4Jyx_Zi2IMyerYY1zoi6fJqUAEzEQQkuEoARPFxouIBSzuKnRYje5xVzV3ZoHJ0LGT9v4iEivnk/s1600/%25E3%2582%25B0%25E3%2583%25AC%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2597%25E3%2583%2595%25E3%2583%25AB%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2584-1.png" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="1600" data-original-width="1200" height="640" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgetgwsaC8n4tYuLYfnCWGmjdoLCsKFlrBugAwVAxZ13uIRitJ-KEiwrsKvxZYOqAGD4Jyx_Zi2IMyerYY1zoi6fJqUAEzEQQkuEoARPFxouIBSzuKnRYje5xVzV3ZoHJ0LGT9v4iEivnk/s640/%25E3%2582%25B0%25E3%2583%25AC%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2597%25E3%2583%2595%25E3%2583%25AB%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2584-1.png" width="480" /></a></div>
<br /><b>マーシュ(別名:ホワイト)</b>グレープフルーツの代表格。フロリダで作られるグレープフルーツで最も多いのがマーシュで、その素晴らしい味がフロリダ・グレープフルーツの名前を確固たるものにしました。ホワイトと呼ばれるのは、普通この種です。果肉が白黄色で、果汁が多く、さわやかな酸味と苦みの少なさが身上です。開花するのは2~ 3月頃ですが、9~10月頃に熟し、翌年の6月までの長い間収穫できます。<div>
<br /><b>トムソン(別名:ピンクマーシュ)</b>見た目はマーシュとあまり変わりませんが、果肉がピンク色をしています。最近は栽培量が減っています。</div>
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<br /><b>ルビー </b>果皮も果肉も赤みを帯びているのが特徴です。風味は白黄色系とあまり変わりありませんが、味はやや甘いです。果肉の赤みは、シーズン終盤にかけてピンク色に変化していきます。</div>
<div>
<br /><b>スタールビー</b>果皮は紅色でなめらか、果肉も深い紅色なのが特徴です。果実が腐りやすく、育てるのが難しい品種です。果汁は少なめです。</div>
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<br /><b>オロブランコ(別名:スィーティー)</b>1958年、アメリカでグレープフルーツとポムロ(ぶんたんの一種)を交配して作り出された新種です。果実は白黄色、種が無いのが特徴です。カリフォルニアから輸入されます。イスラエルからも同種のものが「スィーティー」の名で輸入されますが、皮の色は緑色をしています。酸味が少なく、甘くて食べやすいので人気を呼んでいます。<br /><br /><div>
これらの中でホワイト、ルビー、スィーティーについては、カルシウム拮抗薬との相互作用を引き起こす原因物質であるフラノクマリン類の含有量が測定されています。</div>
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<br /></div>
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ルビータイプにはホワイトタイプの約半分、スィーティーはホワイトタイプと同程度のフラノクマリン類が含まれています。</div>
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もちろん産地、加工法などで違いは存在すると考えられます。</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEh7Cgef1LdkyaEAFcGFsJKydE-0bcES6GSnQJBNy4Jv-EZBQeJwG5O5YcbP5W-qiejRdIUBDgSC_CIfj1JSyJbxW_8KYVsWT99r6OMRu6pTwpSq3pqb24fd0uFn3q-IIsy_VstDfwrZJ_Y/s1600/gf-1.png" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="900" data-original-width="1600" height="360" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEh7Cgef1LdkyaEAFcGFsJKydE-0bcES6GSnQJBNy4Jv-EZBQeJwG5O5YcbP5W-qiejRdIUBDgSC_CIfj1JSyJbxW_8KYVsWT99r6OMRu6pTwpSq3pqb24fd0uFn3q-IIsy_VstDfwrZJ_Y/s640/gf-1.png" width="640" /></a></div>
<div>
<br /></div>
<div>
したがって、ルビータイプはホワイトタイプよりも相互作用強度は低く、スィーティーはホワイトタイプと同程度の相互作用強度を示すと考えられます。</div>
</div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-1312991466618651192018-10-24T23:52:00.001+09:002018-10-24T23:52:34.388+09:00相互作用が問題となるグレープフルーツジュースの量はどのくらい?<div>
<b>明確な量はわかりません。</b></div>
<div>
一緒に飲む薬の種類や代謝の個人差により一概には言うことができません。</div>
<div>
<br />まず重要なポイントは、グレープフルーツと薬物の相互作用は不可逆的な機構に基づいており、量が少なくても消化管の酵素(CYP3A4)が失活してしまうくらいに強烈であるということです。したがって、相互作用がもともと少ないアムロジピンやジルチアゼム以外のカルシウム拮抗薬については少量でも注意が必要になります。<br /><br />次に重要なポイントは、カルシウム拮抗薬とグレープフルーツの相互作用には個人差があるということです。事前に相互作用が強く出るか、弱く出るかを推測することは現時点では不可能です。またグレープフルーツや種々食品に含まれる阻害物質の量には、果実の種類や部位、ジュースの種類、その他の食品間で違いがあり、目の前の患者が摂取したグレープフルーツの種類や量を確定することはできません。<br /><br />コップ一杯程度のジュースでも相互作用が出るとの報告や、3~7日も相互作用が持続するなどが報告されています。</div>
<div>
グレープフルーツの摂取量や、薬とCYP3A4との関係などから、相互作用も「絶対禁止レベル」から「気にしない程度」まで様々なので、どうしたらよいのか悩んでも回答はないことになります。</div>
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<br /></div>
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いろいろな考え方ができると思います。</div>
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<br /></div>
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アムロジピンやジルチアゼムのように相互作用の程度の低い薬剤に対しては、グレープフルーツの摂取は問題ないと考えられますが、個人差があるため、なるべく摂取は控えるベほうがベターだという考え方。</div>
<div>
<br />単純に「お薬と一緒にグレープフルーツを摂取することは厳禁」と判断するのではなく、個人差の影響、相互作用を危惧する薬物の副作用の症状と程度、高齢者など影響を受けやすい対象者など、個別の状況を考慮して柔軟に対応するという考え方もあります。</div>
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<br /></div>
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<br /></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-26463746936740615642018-10-24T23:14:00.000+09:002018-10-24T23:14:08.020+09:00グレープフルーツ(ジュース)の量の違いで相互作用の程度に差がありますか?<b>血中濃度の増加率は、ジュースの飲用量に単純に比例するわけではありません。</b><div>
もちろん、グレープフルーツジュースを2倍量飲用すると、消化管の代謝酵素も2倍の速度で不活性化することも考えられます。しかし、消化管での代謝酵素の不活性化速度が2倍になったからといって、消化管を通過する薬物量が2倍になるわけではありません。さらに、薬物によっては肝臓での初回通過効果も無視できませんが、これはグレープフルーツジュースによる影響を受けません。<br /><br /><br />まず、グレープフルーツ(ジュース)の相互作用メカニズムについて説明します。経口投与されたカルシウム拮抗薬は消化管から吸収され、消化管壁を通過して血液中へ取り込まれます。消化管壁には薬物酸化代謝酵素の一つであるチトクロームP450(CYP3A4)が存在するため、吸収されたカルシウム拮抗薬は血液中へ移行する前に一部分が代謝・分解されます。</div>
<div>
グレープフルーツ(ジュース)を摂取するとジュース中の阻害物質が消化管壁に存在するCYP3A4に結合し、CYP3A4の代謝が不可逆的に損なわれるために、カルシウム拮抗薬が代謝・分解できなくなって、血液中へのカルシウム拮抗薬の吸収(移行)が増加することになります。<br /><br />この時、ジュースを2倍飲用すれば阻害物質の量も2倍になり、失活するCYP3A4量も増加し、消化管壁での代謝阻害は2倍になると考えられます。</div>
<div>
それでも血液中への移行量が2倍になるわけではありません。<br /><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgE1HQJf9-aKeNL1uyvQOl47bNxqgHw-1gWaYNRjmDqDl9vhspoQpDg-6Molxn6SKXN2JqSwgPsrXVzFSZxsez6qjMeZvCVebouA4zyMDxuK2B70On7p-0dVpBNtD1qhyqUOZ0YfaDh_sc/s1600/%25E3%2581%258B%25E3%2582%258B%25E3%2581%2590%25E3%2582%258C71-1.png" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em; text-align: center;"><img border="0" data-original-height="900" data-original-width="1600" height="360" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgE1HQJf9-aKeNL1uyvQOl47bNxqgHw-1gWaYNRjmDqDl9vhspoQpDg-6Molxn6SKXN2JqSwgPsrXVzFSZxsez6qjMeZvCVebouA4zyMDxuK2B70On7p-0dVpBNtD1qhyqUOZ0YfaDh_sc/s640/%25E3%2581%258B%25E3%2582%258B%25E3%2581%2590%25E3%2582%258C71-1.png" width="640" /></a><br />たとえば、グレープフルーツジュースを飲用していないとき100個の有効成分が消化管壁を通過する際に50個代謝されると仮定します。ここでグレープフルーツジュースを200mLまたは400mL飲用した場合を考えてみましょう。200 mL飲用したとき代謝する量が20個減少するなら、400mL飲用したときには、代謝阻害物質の量は2倍になっていますから、代謝する量は40個減少すると仮定できます。しかし、血液中へ移行した量を考えると、グレープフルーツジュースを飲んでないときは50個、200mL飲用したときは70個、400 mL飲用したときは90個となり、400mLの時は200mLの2倍にはなりません。<br /><br />したがって、グレープフルーツジュースとカルシウム拮抗薬の相互作用を血中濃度の増加率として考えるならば、相互作用はジュースの飲用量に必ずしも比例しません。</div>
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<br /></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-76681547565974353512018-10-24T00:22:00.000+09:002018-10-24T00:22:38.874+09:00カルシウム拮抗薬とグレープフルーツの影響には個人差がありますカルシウム拮抗薬とグレープフルーツの影響にはかなり個人差があることがわかっています。<div>
つまり、血液中の薬物濃度の変化で評価したとき、カルシウム拮抗薬とグレープフルーツとの相互作用がほとんど認められない人もいれば、かなり影響が出る人もいるということです。</div>
<div>
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10223776" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">Clin Pharmacol Ther. 1999 Apr;65(4):395-401.(PMID:10223776)</span></a></div>
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16685052?dopt=Abstract" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">Am J Clin Nutr. 2006 May;83(5):1097-105.(PMID:16685052) </span></a><div>
<br />相互作用の個人差の原因として主に二つ考えられます。</div>
<div>
一つはカルシウム拮抗薬の代謝を担うCYP3A4の酵素活性の個人差、もう一つはジュース間、果物間、製品間での阻害物質(フラノクマリン類など)の含量の相違です。<br /><br /><br /><h3>
CYP3A4活性の個人差</h3>
CYP3A4には大きな個人差があることは以前から知られています。その原因については不明な点が多いのですが、CYP3A4の遺伝子多型、アレル発現の偏りなどといった遺伝的背景におけるCYP3A4の発現調節の個人差、食事・食物の個人間の違いによるものであることが示唆されています。特に、小腸上皮細胞で発現しているCYP3A4には大きな個人差があると考えられています。</div>
<div>
カルシウム拮抗薬とグレープフルーツとの相互作用部位は消化管なので、特に個人差が大きくなってしまっているのでしょう。<br /><br /><h3>
果実、製品中の阻害物質の含量差</h3>
グレープフルーツの果実、グレープフルーツジュース、グレープフルーツを含有する食品において、阻害物質となるフラノクマリン類の含有量が相違していることが考えられます。グレープフルーツの実の中に含まれる阻害物質の量は生産された場所、季節、生産年によって違ってきます。同じ時期に同じ木から収穫された果実であっても違う可能性があるということです。また仮に同じ果実から作られたグレープフルーツジュースなどの「製品」であっても果汁の絞り方によって阻害物質の含量は違ってくる可能性があります。</div>
<div>
したがって、同じ人がグレープフルーツを摂取しても、その種類が違えば、相互作用の程度も違ってくると考えられます。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
<br /></div>
カルシウム拮抗薬とグレープフルーツの影響には個人差があるので、<br />単純に「カルシウム拮抗薬と一緒にグレープフルーツを摂取することは厳禁」と判断するのではなく、個別の状況を考慮して柔軟に対応することが肝要です。YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-23655220301464824222018-10-23T23:41:00.002+09:002018-10-23T23:57:59.341+09:00カルシウム拮抗薬とグレープフルーツ(ジュース)を一緒に飲んだときの副作用報告はありますか?以下のような例が報告されています。<br />
<br />
グレープフルーツジュース300mLを摂取30分後、ニカルジピン40mgを経口投与したところ<b>心拍数に変化</b>がみられました。<br />
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11214770" target="_blank">Eur J Clin Pharmacol. 2000 Dec;56(9-10):643-9.(PMID:11214770)</a> <br />
<br />
<br />
グレープフルーツジュース200mLと、ニソルジピン5mg経口投与したところ<b>頭痛</b>がみられました。<br />
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10741622" target="_blank">Clin Pharmacol Ther. 2000 Mar;67(3):201-14.(PMID:10741622)</a><br />
<br />
<br />
グレープフルーツジュース250mLと一緒にフェロジピン徐放剤5mg単回経口投与したところ、<b>頭痛、めまい、けいれん、吐き気</b>などがみられました。<br />
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15592332" target="_blank">Clin Pharmacol Ther. 2004 Dec;76(6):607-17.(PMID:15592332)</a><br />
<br />
<br />
朝食時にグレープフルーツジュース240mLと一緒にアムロジピン即放錠10mgを単回経口投与したところ<b>頭痛</b>がみられました。<br />
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11069440" target="_blank">Br J Clin Pharmacol。2000 Nov; 50(5):455-63 (PMID:11069440)</a><br />
<br />
<br />
グレープフルーツジュース250mLの摂取30分後にマニジピン40mg単回経口投与したところ、血圧や心拍数に影響はみられなかったものの、<b>頭痛や顔面紅潮、動悸</b>がみられました。<br />
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16669846" target="_blank">Br J Clin Pharmacol. 2006 May;61(5):533-7. (PMID:16669846)</a><br />
<br />
<br />
<div>
しかし、これらのように血圧低下や頭痛などの副作用として著しい影響が出たという研究報告はあまり多くありません。</div>
<div>
<br /></div>
単純に「薬と一緒にグレープフルーツを摂取することは厳禁」と決めつけるのではなく、個人差の影響、個別の状況を考慮して柔軟に対応することが肝要です。<br />
<br />YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-19866527818301293362018-10-23T22:58:00.000+09:002018-10-23T23:57:20.079+09:00カルシウム拮抗薬とグレープフルーツ(ジュース)との相互作用でどのような副作用が起こりますか?グレープフルーツ(ジュース)の摂取によりカルシウム拮抗薬のバイオアベイラビリティが上昇し、その結果血中濃度が上昇します。<br />
<div>
<br /></div>
<div>
したがって、カルシウム拮抗薬の過量投与と同じことになります。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
極端な例を言えば、バイオアベイラビリティが 5 倍ということは、 1 錠飲んだとしても 5 錠まとめ飲みと同等ということになります。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
具体的な副作用としては、</div>
<div>
一般的なカルシウム拮抗薬の副作用として知られているものが起こると推測されます。</div>
<div>
<ul>
<li>血圧の著しい低下</li>
<li>顔面紅潮</li>
<li>動悸</li>
<li>浮腫</li>
<li>頻脈</li>
<li>頭痛</li>
<li>めまい</li>
<li>嘔気</li>
<li>発疹</li>
</ul>
</div>
<div>
などが考えられます。<br />
<br />
しかし、これまで報告されている相互作用の検討結果は血液中の薬物濃度の変化を検討したものがほとんどで、血圧低下や頭痛などの副作用として著しい影響が出たという研究報告はあまり多くありません。</div>
<div>
<br /></div>
単純に「薬と一緒にグレープフルーツを摂取することは厳禁」と決めつけるのではんく、個人差の影響、個別の状況を考慮して柔軟に対応することが肝要です。<div>
<br /></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-58600368567042054652018-09-10T22:45:00.001+09:002018-09-10T22:45:31.669+09:00グレープフルーツとの相互作用があるカルシウム拮抗薬以外の薬<br />
グレープフルーツは消化管のCYP3A4を不活性化するため、CYP3A4で代謝される薬物の中には、カルシウム拮抗薬と同様のメカニズムにより、グレープフルーツ摂取時は薬物の血中濃度が上昇することが報告されているものがあります。<br />
<br />
高脂血症治療薬シンバスタチンを200 mLのグレープフルーツジュースと摂取すると、薬物体内動態にどのような影響がおよぶかを検討した臨床試験について次に簡単に示します。<br />
<br />
<blockquote class="tr_bq">
臨床試験:10人の健常成人男子を対象として、無作為二重盲検法により、グレープフルーツジュース200 mLあるいは水(コントロール)を2日間摂取し、3日目にシンバスタチン40 mgをグレープフルーツジュース200 mLあるいは水といっしょに単回服用させた。グレープフルーツジュース摂取時は、シンバスタチンおよびシンバスタチンacid体のAUCは、それぞれ 3.6倍、3.3倍に増大し、Cmaxはそれぞれ3.9倍、4.3倍に増大した。</blockquote>
<br />
<span style="font-size: x-small;"><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/15206993/" target="_blank">Lilja JJ,et al.,Effects of regular consumption of grapefruit juice on the pharmacokinetics of simvastatin.Br J Clin Pharmacol, 58(1) : 56-60, 2004(PMID:15206993)</a></span><br />
<br />
<br />
以下に、これまで報告されている臨床試験の一例を示しています。 <br />
他にも多くの臨床試験が報告されています。<br />
<br />
<br />
<style>
table {
border-collapse: collapse;
}
th {
border: solid 1px #666666;
color: #000000;
background-color: #ff9999;
}
td {
border: solid 1px #666666;
color: #000000;
background-color: #ffffff;
}
</style>
<br />
<table>
<thead>
<tr>
<th>分類
</th>
<th>一般名
</th>
<th>代表商品名
</th>
<th colspan="3">血中濃度の変化
</th>
<th>文献
</th>
</tr>
<tr>
<th>
</th>
<th>
</th>
<th>
</th>
<th>AUC
</th>
<th>Cmax
</th>
<th>Tmax
</th>
<th>PMID</th>
</tr>
</thead>
<tbody>
<tr>
<th rowspan="2">抗不整脈薬<br />
β遮断薬
</th>
<td>アセブトロール
</td>
<td>アセタノール
</td>
<td>7%減少
</td>
<td>19%減少
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=16305592" target="_blank">16305592 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>ナドロール
</td>
<td>ナディック
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=23677858" target="_blank">23677858 </a></td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="4">スタチン
</th>
<td>プラバスタチン
</td>
<td>メバロチン
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=15025743" target="_blank">15025743 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>シンバスタチン
</td>
<td>リポバス
</td>
<td>約 3.6 倍
</td>
<td>約 3.9 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=15206993" target="_blank">15206993 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>アトルバスタチン
</td>
<td>リピトール
</td>
<td>約 1.8 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=16236039" target="_blank">16236039 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>ピタバスタチン
</td>
<td>リバロ
</td>
<td>約 1.1 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=16236039" target="_blank">16236039 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>PPI
</th>
<td>オメプラゾール
</td>
<td>オメプラール
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=10671908" target="_blank">10671908 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>抗生物質
</th>
<td>エリスロマイシン
</td>
<td>エリスロマイシン
</td>
<td>約 1.5 倍
</td>
<td>約 1.5 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=11294369" target="_blank">11294369 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>駆虫薬
</th>
<td>プラジカンテル
</td>
<td>ビルトリシド
</td>
<td>約 1.9 倍
</td>
<td>約 1.6 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=11959616" target="_blank">11959616 </a></td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="3">抗悪性腫瘍薬
</th>
<td>エトポシド
</td>
<td>ベプシド
</td>
<td>減少
</td>
<td>ND
</td>
<td>ND
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=12389073" target="_blank">12389073 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>スニチニブ
</td>
<td>スーテント
</td>
<td>上昇
</td>
<td>上昇
</td>
<td>ND
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=20512335" target="_blank">20512335 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>ニロチニブ
</td>
<td>タシグナ
</td>
<td>29%上昇
</td>
<td>66%上昇
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=19948946" target="_blank">19948946 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>抗不安薬
</th>
<td>アルプラゾラム
</td>
<td>ソラナックス
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=10907671" target="_blank">10907671 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>抗ヒスタミン薬
</th>
<td>フェキソフェナジン
</td>
<td>アレグラ
</td>
<td>約 36%減少
</td>
<td>約 47%減少
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=15735611" target="_blank">15735611 </a></td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="2">ステロイド
</th>
<td>メチルプレドニゾロン
</td>
<td>メドロール
</td>
<td>約 1.7 倍
</td>
<td>約 1.3 倍
</td>
<td>約 1.5 倍
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=11049012" target="_blank">11049012 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>ブデソニド
</td>
<td>ゼンタコート
</td>
<td>約 2 倍
</td>
<td>約 2 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=19694184" target="_blank">19694184 </a></td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="3">睡眠薬
</th>
<td>トリアゾラム
</td>
<td>ハルシオン
</td>
<td>上昇
</td>
<td>上昇
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=16416305" target="_blank">16416305 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>クアゼパム
</td>
<td>ドラール
</td>
<td>NS
</td>
<td>上昇
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=16416305" target="_blank">16416305 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>ミダゾラム
</td>
<td>ドルミカム
</td>
<td>上昇
</td>
<td>上昇
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27294349" target="_blank">27294349 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>甲状腺ホルモン
</th>
<td>レボチロキシン
</td>
<td>チラーヂン
</td>
<td>13%減少
</td>
<td>11%減少
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1884777/" target="_blank">16120075 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>抗マラリア薬
</th>
<td>プリマキン
</td>
<td>プリマキン
</td>
<td>19%上昇
</td>
<td>23%上昇
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1885124/" target="_blank">16722829 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>免疫抑制薬
</th>
<td>シクロスポリン
</td>
<td>ネオーラル
</td>
<td>1.4 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7715295" target="_blank">7715295 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>オピオイド
</th>
<td>オキシコドン
</td>
<td>オキシコンチン
</td>
<td>1.7 倍
</td>
<td>1.5 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=20406214" target="_blank">20406214 </a></td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="3">抗血小板薬
</th>
<td>チカグレロル
</td>
<td>ブリリンタ
</td>
<td>2.2 倍
</td>
<td>1.7 倍
</td>
<td>延長
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3690107/" target="_blank">23126367 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>プラスグレル
</td>
<td>エフィエント
</td>
<td>26%低下
</td>
<td>49%低下
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4500333/" target="_blank">25557052 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>クロピドグレル
</td>
<td>プラビックス
</td>
<td>84%低下
</td>
<td>87%低下
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24067745" target="_blank">24067745 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>利用薬
</th>
<td>トルバプタン
</td>
<td>サムスカ
</td>
<td>1.5 倍
</td>
<td>1.9 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=21853290" target="_blank">21853290 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>コルヒチン
</th>
<td>コルヒチン
</td>
<td>コルヒチン
</td>
<td>NS
</td>
<td>NS
</td>
<td>延長
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=22940371" target="_blank">22940371 </a></td>
</tr>
<tr>
<th rowspan="2">SSRI
</th>
<td>セルトラリン
</td>
<td>ジェイゾロフト
</td>
<td>上昇
</td>
<td>上昇
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=19172438" target="_blank">19172438 </a></td>
</tr>
<tr>
<td>ダポキセチン
</td>
<td>(本邦未発売)
</td>
<td>上昇
</td>
<td>上昇
</td>
<td>NS
</td>
<td><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27294349" target="_blank">27294349 </a></td>
</tr>
<tr>
<th>抗精神病薬
</th>
<td>ブロナンセリン
</td>
<td>ロナセン
</td>
<td>1.82 倍
</td>
<td>1.77 倍
</td>
<td>NS
</td>
<td><span style="font-size: x-small;"><a href="http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0103/bn/11/05index.html" target="_blank">臨床精神 薬理. 2008; 11:901-9. </a></span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<br />
<div>
カルシウム拮抗薬については<a href="http://www.calgre.net/2018/08/4-1.html" target="_blank">こちら</a><br />
<br />
<br /></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-9800605396525355712018-08-25T02:57:00.001+09:002018-08-25T02:57:42.465+09:00グレープフルーツとの相互作用の影響を予測する<br />
グレープフルーツは消化管における薬物代謝能を低下させます。したがって初回通過代謝における消化管の寄与が大きな薬物ほどグレープフルーツ摂取によって体内動態が大きく変動すると考えられます。つまり、バイオアベイラビリティの低い薬物ほど注意が必要です。<br />
また一般的に血漿タンパク結合率の大きな薬物は肝臓への移行が制限されることから、肝代謝の寄与が小さくなり、消化管代謝の寄与が相対的に大きくなります。この考え方からすれば、カルシウム拮抗薬とグレープフルーツジュースの相互作用の影響は、カルシウム拮抗薬の血漿タンパク結合率から推測できるとも考えられます。<br />
<br />
グレープフルーツジュースとカルシウム拮抗薬との相互作用が消化管上皮細胞における代謝阻害に起因しているということは、いいかえれば、消化管における代謝がカルシウム拮抗薬の吸収過程における解毒を決定する要因であることを意味しています。<br />
しかしながら、カルシウム拮抗薬を代謝する CYP3A4の小腸における含有量は、肝臓の<b><span style="color: #741b47;">80</span></b>分の1程度しかありません。<br />
<br />
<a href="http://dmd.aspetjournals.org/content/27/2/161.long" rel="nofollow" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">Hall SD, et al.,Molecular and physical mechanisms of first-pass extraction.Drug Metab Dispos. 1999 Feb;27(2):161-6.(PMID: 9929497)</span></a><br />
<br />
このことは「消化管での解毒が体内動態の重要な決定因子」という知見と、一見矛盾するように感じられます。しかし、カルシウム拮抗薬の血漿タンパク質への結合が重要な役割を演じている、と考えることが可能です。<br />
臓器での薬物代謝能は、血漿タンパク質に結合していない薬物の量と臓器の酵素量との積に比例すると仮定できます。<br />
では、血漿タンパク結合率90%の薬物Aを例に考えてみましょう。<br />
薬物Aの血漿蛋白非結合率は100-90=<b><span style="color: #0b5394;">10%</span></b>です。<br />
薬物Aの肝臓での代謝は<br />
<blockquote class="tr_bq">
<b><span style="color: #741b47;">80</span></b>(酵素量比)×<b><span style="color: #0b5394;">10%</span></b>(血漿タンパク質非結合率)= 800(任意単位)</blockquote>
となります。<br />
一方、薬物Aの消化管での代謝は、吸収時の消化管内では血漿タンパク結合がないと仮定できるので、血漿蛋白非結合率は100%です。すなわち<br />
<blockquote class="tr_bq">
1(酵素量比)×100%(血漿タンパク質非結合率)= 100(任意単位)</blockquote>
となります。<br />
したがってこの場合、もしグレープフルーツジュース飲用によって小腸におけるカルシウム拮抗薬の代謝が完全に阻害されるとすると、体全体としての吸収過程での代謝は88.9%(=800/900)に低下することとなり、血中濃度は約1.13倍程度に上昇すると考えられます。<br />
<br />
では、薬物Aより血漿蛋白結合率が高い薬物Bではどうでしょうか。<br />
<br />
薬物Bの血漿タンパク結合率が99.9%の場合、血漿蛋白非結合率は<b><span style="color: #0b5394;">0.1%</span></b>です。<br />
肝臓での代謝は<br />
<blockquote class="tr_bq">
<b><span style="color: #741b47;">80</span></b>×<b><span style="color: #0b5394;">0.1</span></b> = 8</blockquote>
小腸での代謝は<br />
<blockquote class="tr_bq">
1×100 = 100</blockquote>
と求められます。<br />
この場合もグレープフルーツジュースにより小腸における代謝が完全に阻害されるとすると、体全体としての吸収過程での代謝は74%(=8/108)に低下し、血中濃度は13.5倍に上昇すると考えられます。<br />
<br />
<br />
以上のように仮定ではありますが、グレープフルーツジュースとの相互作用の臨床試験が行われていない薬物の影響に関しては、血漿タンパク非結合率から相互作用の強度を予測することが可能であると考えられます。YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-91927748788358464812018-08-25T00:05:00.004+09:002018-08-25T00:05:59.658+09:00アムロジピンはグレープフルーツと相互作用が起きにくいカルシウム拮抗薬?<br />
過去の臨床試験によりますと、アムロジピンの血中濃度はグレープフルーツジュースによってほとんど影響を受けないとされています。<br />
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8911887" rel="nofollow" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">Josefsson M, Zackrisson AL, Ahlner J. Effect of grapefruit juice on the pharmacokinetics of amlodipine in healthy volunteers. Eur J Clin Pharmacol. 51(2):189-93, 1996</span></a><br />
<span style="font-size: x-small;"><br /></span>
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2014412/" rel="nofollow" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">Vincent J,et.al.,Lack of effect of grapefruit juice on the pharmacokinetics and pharmacodynamics of amlodipine.Br J Clin Pharmacol. 2000 Nov;50(5):455-63.</span></a><br />
<br />
しかしながら、グレープフルーツ摂取によってアムロジピンの血中濃度が上昇し、血圧が低下したと疑われる報告もあります。<br />
<blockquote class="tr_bq">
症例は62歳、女性。高血圧、SLE、ルーブス腎炎にてアムロジピン5 mg他降圧薬、利尿薬、ステロイド投与を受けていた。平成12年6月頃より食欲不振、食事を殆ど摂取しない状態であったが、グレープフルーツを15日間連日摂取していた。7月3日全身倦怠感を認め来院。脈拍触知不良、収縮期血圧80 mmHg以下とショック状態にて入院となった。入院後、補液、カテコラミン投与を行ったが、収縮期血圧80 mmHg台が持続した。入院時のアムロジピン血中濃度は、11.7 ng/mLと反復投与を行っている健常人と比べて高値であった。グレープフルーツに含まれるフラボノイドはジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の代謝阻害に関与する。今回の症例に関して、アムロジピン血中濃度上昇にグレープフルーツジュース摂取の影響の可能性も考えられた。若干の文献的考察を加えて報告する。</blockquote>
<span style="font-size: x-small;">「グレープフルーツ摂取後アムロジピン血中濃度上昇が認められた一例」</span><span style="font-size: x-small;">大橋能理ら、第183回日本内科学会東海地方会(2001.2.17)要旨集より引用</span><br />
<br />
上述のように、過去の臨床試験によりますと、アムロジピンの血中濃度はグレープフルーツジュースによってほとんど影響を受けないとされています。では、なぜこのような症例が起こったのでしょう?<br />
<br />
最初に言っておかなくてはならないのは、健常者にアムロジピン2.5 mgを連続投与した場合、Cmaxは3.5 ng/mL、5 mgを連続投与した場合は7.5 ng/mL、高齢者に5 mgを連続投与した場合14.9 ng/mLであったというデータが存在しており、このことから本症例の11.7 ng/mLという数値は決して高い血中濃度ではないという点です。<br />
<br />
それではアムロジピンとグレープフルーツとの相互作用が起こる可能性に関して、念のためここで考察したいと思います。<br />
まず、グレープフルーツを15日間連続して摂取していたことが大変気になります。このような過酷な状況の臨床試験結果がないので予想がつきませんが、もしかしたら、相互作用が消化管だけではなく肝臓でも起こった可能性が考えられます。これまでの研究から、通常量のグレープフルーツジュースであれば、小腸上皮細胞のCYPのみが阻害されることが明らかとなっています。しかし、グレープフルーツジュースの摂取量が過大であれば、阻害物質が肝臓まで到達し、肝臓での代謝まで阻害した可能性があります。<br />
またグレープフルーツジュース側の問題として、阻害物質が多量に含まれていた果肉を摂取した可能性をあげることができます。<br />
<br />
さらに、患者側の要因も考えることが出来ます。アムロジピンのバイオアベイラビリティは64%と他のカルシウム拮抗薬と比較して高いのですが、本症例の患者においてはそれが特に小さかったという可能性が考えられます。すなわちCYP3A4の活性が高く、グレープフルーツジュースの阻害作用を受けやすかったということです。<br />
<br />
以上のどの考察が適当であるかは現時点では不明ですが、アムロジピンであっても相互作用が起こる可能性があるということを示唆していますので、基本的にはグレープフルーツジュースの摂取はなるべく控え、特に多量摂取は禁止にすることが適当であると考えます。<br />
<div>
<br /></div>
<div>
<span style="font-size: x-small;">※アムロジピンの添付文書には、「<span style="background-color: white;">グレープフルーツに含まれる成分が本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する可能性が考えられる。</span><span style="background-color: white;">本剤の降圧作用が増強されるおそれがある。同時服用をしないように注意すること」との記載があります。</span></span></div>
<div>
<span style="background-color: white;"><br /></span></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-47611271948257126042018-08-23T23:57:00.003+09:002018-08-24T23:19:08.764+09:00カルシウム拮抗薬とグレープフルーツとの相互作用一覧表カルシウム拮抗薬とグレープフルーツジュースとの相互作用の強さはカルシウム拮抗薬の種類によって大きく異なり、臨床的に影響が出るほど増加するというものから、殆ど影響のないものまで変化に富んでいます。<br />
表はカルシウム拮抗薬とグレープフルーツジュースとの相互作用の一覧表です。
<br />
<br />
表: 経口投与された各種カルシウム拮抗薬の血中濃度-時間曲線下面積(AUC)・最高血中濃度(Cmax)のグレープフルーツジュース飲用による上昇率と相互作用の強さの分類<br />
<br />
<style>
table {
border-collapse: collapse;
}
th {
border: solid 1px #666666;
color: #000000;
background-color: #ff9999;
}
td {
border: solid 1px #666666;
color: #000000;
background-color: #ffffff;
}
</style>
<br />
<table>
<thead>
<tr>
<th rowspan="2">一般名
</th>
<th rowspan="2">代表商品名
</th>
<th rowspan="2">生物学的利用率
</th>
<th colspan="3">血中濃度の変化
</th>
<th rowspan="2">文献
</th>
</tr>
<tr>
<th>AUC
</th>
<th>Cmax
</th>
<th>Tmax
</th>
</tr>
</thead>
<tbody>
<tr>
<td><div style="text-align: center;">
ニフェジピン
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
アダラート
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
61
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 1.4 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
NS
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
延長
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=1671113" rel="nofollow" target="_blank">1671113 </a></div>
</td>
</tr>
<tr>
<td><div style="text-align: center;">
ニカルジピン
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
ペルジピン
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
48.6
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 1.4 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
-
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
-
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=11214770" rel="nofollow" target="_blank">11214770 </a></div>
</td>
</tr>
<tr>
<td><div style="text-align: center;">
ニソルジピン
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
バイミカード
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
8.4
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 4.0 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 5 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
NS
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=10741622" rel="nofollow" target="_blank">10741622 </a></div>
</td>
</tr>
<tr>
<td><div style="text-align: center;">
フェロジピン
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
スプレンジール
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
16.2
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 2.5 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 2.2 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
延長
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=1671113" rel="nofollow" target="_blank">1671113 </a></div>
</td>
</tr>
<tr>
<td><div style="text-align: center;">
アムロジピン
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
アムロジン/ノルバスク
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
64
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
NS
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
NS
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
NS
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
<a href="https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=3328422516356478881#editor/target=post;postID=4761127194825712604" rel="nofollow" target="_blank">11069440 </a></div>
</td>
</tr>
<tr>
<td><div style="text-align: center;">
ジルチアゼム
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
ヘルベッサー
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
44.9
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 1.2 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
NS
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
NS
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=12451428" rel="nofollow" target="_blank">12451428 </a></div>
</td>
</tr>
<tr>
<td><div style="text-align: center;">
アゼルニジピン
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
カルブロック
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
ND
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 3.3 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約2.5 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
延長
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
<a href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscpt1970/37/3/37_3_127/_pdf/-char/ja" rel="nofollow" target="_blank">臨床</a><a href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscpt1970/37/3/37_3_127/_pdf/-char/ja" rel="nofollow" target="_blank">薬理<br />2006;</a><a href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscpt1970/37/3/37_3_127/_pdf/-char/ja" rel="nofollow" target="_blank">37<br />(3):</a><a href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscpt1970/37/3/37_3_127/_pdf/-char/ja" rel="nofollow" target="_blank">127-133</a></div>
</td>
</tr>
<tr>
<td><div style="text-align: center;">
マニジピン
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
カルスロット
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
ND
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 3.0 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
約 3.4 倍
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
NS
</div>
</td>
<td><div style="text-align: center;">
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=16669846" rel="nofollow" target="_blank">16669846 </a></div>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<br />
※相互作用臨床試験はそれぞれの薬剤で単独で行われたものであり、カルシウム拮抗薬間の相互作用程度の大小関係を直接的に比較することはできません。YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-10372701481238128752018-08-22T22:51:00.002+09:002018-08-22T22:51:30.571+09:00グレープフルーツとカルシウム拮抗薬の通常製剤と徐放性製剤で相互作用の程度に違いはありますか<br />
通常製剤と徐放性製剤の相互作用の程度を同時に比較した臨床試験は行われていませんが、異なる施設で行われたフェロジピンに関する臨床試験の結果をご紹介します。結果を比較すると徐放性製剤と通常製剤の間で、<b><span style="color: #741b47;">相互作用の程度に大きな違いはない</span></b>と考えられます。<br />
<br />
<div style="background: #eee; border-radius: 10px; padding: 10px;">
<b>フェロジピンとフェロジピン徐放性製剤</b><br />
グレープフルーツジュース250mLとフェロジピン5mg(通常製剤or徐放製剤)を同時に服用した場合、対照群と比較して血中濃度曲線下面積(AUC)では約2.5倍(通常製剤)、約2.9倍(徐放製剤)、最高血中濃度では約2.2倍(通常製剤)、約4倍(徐放製剤)と剤形による大きな違いは示されていません。<br />
<br />
<span style="font-size: x-small;">(通常製剤)<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=1671113" rel="nofollow" target="_blank">PMID:1671113</a> </span><br />
<span style="font-size: x-small;">(徐放製剤)<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=10945313" rel="nofollow" target="_blank">PMID:10945313</a></span></div>
<br />
<div style="background: #eee; border-radius: 10px; padding: 10px;">
<b>ニフェジピンとニフェジピン徐放性製剤</b><br />
グレープフルーツジュース200~400 mLとニフェジピンを同時に服用した場合、対照群と比較してAUCでは1.09~1.58倍(通常製剤)1.13~1.23倍(徐放製剤)、最高血中濃度では1.04~1.27倍(通常製剤)1.59~1.8倍(徐放製剤)と剤形によってAUCに違いは示されませんでしたが、最高血中濃度には若干の違いが見られました。<br />
<br />
<a href="http://jglobal.jst.go.jp/public/200902165298107121" rel="nofollow" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">澤田康文、大谷嘉一 「薬と嗜好品・飲料物・健康食品 医薬品とグレープフルーツジュースの相互作用臨床試験例 」薬局 52(2),1035-1052,2001</span></a><br />
<br /></div>
<br />
グレープフルーツとカルシウム拮抗薬の相互作用は、その中に含まれるフラノクマリン類による消化管内のCYP3A4に対する不可逆的阻害作用によると考えられています。CYP3A4の消化管内における存在部位は主に小腸上部であると言われています。したがって、徐放性製剤の場合、小腸内移動中において主薬の放出状態が通常製剤と相違していることが考えられるため相互作用の程度が違ってくることが想像されます。しかし、これまでこの点を積極的に検討した比較臨床試験はありません。上にいくつか臨床試験をご紹介しましたが、結論としては、徐放性製剤と通常製剤間での相互作用の程度には大きな違いはないことが示唆されます。なぜ差がないのかについて、詳細は不明ですが、徐放性製剤であっても消化管上部での吸収が大きな役割を担っていると考えられます。<br />
<br />
<br />
<br />YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-29285274786501542052018-07-30T01:46:00.000+09:002018-08-07T00:35:51.883+09:00カルシウム拮抗薬のP-糖タンパク質による輸送がグレープフルーツジュースの成分によって阻害されることはありますか?阻害されることはないと考えられます。<br />
<div>
P-糖タンパク質の発現細胞を用いたin vitro実験において、グレープフルーツジュースからの抽出成分がP-糖タンパク質による薬物輸送を阻害することが報告されています。</div>
<div>
しかしながら、おおくの<b><span style="color: #741b47;">カルシウム拮抗薬はP-糖タンパク質の基質ではない</span></b><span style="font-size: x-small;">(P-糖タンパク質の阻害薬ではある)</span>ようなので、相互作用は起こらないと考えられます。</div>
<div>
またグレープフルーツジュースの成分とP-糖タンパク質の相互作用は競合阻害であると考えられるのでCYP3A4阻害の場合のように顕著には現れないと考えられます。<br />
<br />
<h3>
カルシウム拮抗薬がP-糖タンパク質によって輸送されるのか? </h3>
</div>
<div>
P-糖タンパク質を欠損させたマウスを用いた実験によるとベラパミルはP-糖タンパク質によって輸送されることが示されていますが、他のカルシウム拮抗薬に関しては輸送されません。</div>
<div>
また、ヒト消化管由来培養細胞を用いた輸送実験の結果、P-糖タンパク質の基質であるビンブラスチンの輸送はP-糖タンパク質の特異的阻害薬により変化しますが、ニカルジピンの輸送は変化しないことが示されています。</div>
<div>
<br />
<a href="https://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/M2-1/summary_viewer.php?trgid=15932" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">医薬ジャーナル 2002年3月号(Vol.38 No.3)P135(1049)~139(1053)</span></a><br />
<a href="https://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/M2-1/summary_viewer.php?trgid=4005" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">医薬ジャーナル 2002年5月号(Vol.38 No.5)P164(1582)~171(1589)</span></a></div>
<div>
<br />
<h3>
グレープフルーツによるp-糖タンパク阻害が薬物に与える影響</h3>
グレープフルーツジュース飲用が薬物の消化管吸収を増加させるかについてP-糖タンパク質の発現細胞を用いた<b>in vitro実験</b>が行われました。結果、P-糖タンパク質の阻害薬と同様に、グレープフルーツジュースからの抽出成分がP-糖タンパク質による薬物輸送を阻害することが分かりました。</div>
<div>
この実験から、ある種の薬物におけるグレープフルーツジュースによるバイオアベイラビリティの増加は消化管粘膜細胞のチトクローム P450(CYP3A4)の代謝機能阻害だけでなく、粘膜細胞の<b><u>P-糖タンパク質の排出輸送阻害</u></b>が原因となっている可能性も考えられたのです。<br />
<br />
次に、臨床試験<b>in vivo</b>(*)、Becquemontらが行った試験を紹介します。P-糖タンパク質の基質であるジゴキシンの体内動態に及ぼすグレープフルーツジュース飲用の効果を検討したものです。</div>
<div>
平均26歳の12人の健常人にジゴキシン0.5 mgを水あるいはグレープフルーツジュース(50 ml)とともに服用してもらいました。ジゴキシン投与の30分前、投与後3.5時間、7.5時間、11.5時間後にも220 mlの水またはグレープフルーツジュースを飲用させました。</div>
<div>
その結果、グレープフルーツジュース飲用によって、0~4時間のAUC、及び0~24時間の AUCの10%弱の増加が示されていたものの、<b><span style="color: #741b47;">P-糖タンパク質の基質</span></b>であるジゴキシンの最高血中濃度、0~48時間の血中濃度下面積(AUC)には<b><span style="color: #741b47;">統計的に有意な変化は観測されませんでした。</span></b></div>
<div>
また同時にCYP3A4活性の指標である3-methoxymorphinanと dextromethorphanの尿中代謝比を測定したところ、グレープフルーツジュース飲用によって有意に低下していました。つまりグレープフルーツジュースによってCYP3A4の活性は低下していることは示されています。<br />
以上の結果より、P-糖タンパク質の基質であるジゴキシンとグレープフルーツジュースとの間の相互作用は臨床的に重要な相互作用であるとは言い難く、in vivoにおいてP-糖タンパク質の機能にグレープフルーツジュース飲用が影響を与えるという知見は見られませんでした。</div>
<div>
<br />
<span style="font-size: x-small;"><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11673746" target="_blank">(*)Becquemont L, Verstuyft C, Kerb R, Brinkmann U, Lebot M, Jaillon P, Funck-Brentano C. Effect of grapefruit juice on digoxin pharmacokinetics in humans. Clin Pharmacol Ther. 70(4):311-6, 2001(PMID:11673746)</a></span></div>
<div>
<span style="font-size: x-small;"><br /></span></div>
<div>
<span style="font-size: x-small;"><br /></span>In vitroではグレープフルーツジュースのP-糖タンパク質阻害作用が認められているにもかかわらず、in vivoではそれが認められないのは、おそらく、グレープフルーツジュースのP-糖タンパク質に対する阻害能が低いためだと思われます。<br />
CYP3A4への阻害作用はフラノクマリン類によるmechanism based inactivationによる不可逆的な阻害であり、また2量体などによる強い競合阻害によると考えられています。<br />
しかしP-糖タンパク質への阻害作用は、競合阻害であり、しかも親和性は強くないものと考えられます。<br />
<br />
その他、グレープフルーツとP-糖タンパク質を介した相互作用の機序については、ほとんど否定的な結果が出されています。<br />
<a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=10227700&dopt=Abstract" target="_blank">(PMID:10227700)</a><br />
<a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=11673746&dopt=Abstract" target="_blank">(PMID:11673746)</a><br />
<a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=15903127&dopt=Abstract" target="_blank">(PMID:15903127)</a><br />
<br /></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-50772996947715554892018-07-23T01:35:00.002+09:002018-07-31T00:12:52.540+09:00 1回でもグレープフルーツ(ジュース)を摂取したら、カルシウム拮抗薬服用時、常に血中濃度が上昇しますか?<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEifU5eR1c2fy5NDzIa9GLxMYBX6zHJJYwDwP8DUvUV8LOZynWxFluwRGNsvRGwylszyRU2Sgp0gHIjsmkQMhgf2UKng13O-a0dEX4906JUlissTBiBRn6OxcKCvGZo1uj8826X_rk-rO-k/s1600/ca37.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="466" data-original-width="852" height="350" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEifU5eR1c2fy5NDzIa9GLxMYBX6zHJJYwDwP8DUvUV8LOZynWxFluwRGNsvRGwylszyRU2Sgp0gHIjsmkQMhgf2UKng13O-a0dEX4906JUlissTBiBRn6OxcKCvGZo1uj8826X_rk-rO-k/s640/ca37.PNG" width="640" /></a></div>
<br />
グレープフルーツの摂取によって不可逆的に阻害される小腸上皮細胞の解毒代謝酵素(CYP3A4)は、グレープフルーツ摂取の有無にかかわらず体内で常に一定の速度で合成され、一定速度で分解消失しています。これを代謝回転と言います。<br />
<div>
<br />
<div>
グレープフルーツ摂取によって酵素の解毒機能が不可逆的に損なわれ、不活性型CYP3A4に変化します。長いものでは3~7日間持続するとの報告はありますが、不活性型に変化したとしても、また新しい酵素が作られるので<b><span style="color: #741b47;">3~4日後</span></b>には摂取前の状態に戻ると考えられます。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
また、小腸の上皮細胞自体も古くなるとはがれて、代わりに新しい細胞が作られていきますので解毒酵素の活性は数日後には元の状態に戻るものと考えられます。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
したがって、グレープフルーツを摂取したからといって、<b><span style="color: #741b47;">永久的に解毒能力がなくなる、ということはありません。</span></b></div>
</div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-90033859027179710162018-07-16T12:19:00.000+09:002018-07-16T12:19:10.628+09:00グレープフルーツ(ジュース)はカルシウム拮抗薬の肝臓での代謝に与える影響を与えますか?<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhgbhOl6K7KDXfSJ146TpdftmHYp-5WdlUfL71lxUwv5lQ_67lw4M3gf6ZSdMMEyQ6XU7czxF8ee_eom9NisR5f5AM0zKRIryYp-IXjw85-FyVvmjO3NP2JvuYs1KWD1ntrUFt31LjAU6E/s1600/ca35.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="602" data-original-width="1127" height="340" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhgbhOl6K7KDXfSJ146TpdftmHYp-5WdlUfL71lxUwv5lQ_67lw4M3gf6ZSdMMEyQ6XU7czxF8ee_eom9NisR5f5AM0zKRIryYp-IXjw85-FyVvmjO3NP2JvuYs1KWD1ntrUFt31LjAU6E/s640/ca35.PNG" width="640" /></a></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
</div>
<br /><br />カルシウム拮抗薬を経口投与する場合にはグレープフルーツ(ジュース)摂取によって血中濃度が上昇しますが、静脈内投与する場合には殆ど変化しません。<div>
また経口投与した場合でも血液中の消失半減期にグレープフルーツ(ジュース)摂取の影響はみられません。</div>
<div>
したがって、通常飲用する量のグレープフルーツ(ジュース)に含まれる阻害成分は<span style="color: #741b47; font-size: large;"><b>消化管(小腸)のみ</b></span>で阻害作用を発揮し、<b><span style="color: #741b47; font-size: large;">肝臓での代謝には影響を与えない</span></b>と考えられます。<br /><br />もちろん、カルシウム拮抗薬は消化管(主に小腸上皮細胞)と肝臓の両方で解毒代謝されることは知られています。カルシウム拮抗薬とグレープフルーツ(ジュース)の相互作用が消化管のみで起こるのか、または肝臓も関係するのか、という問題は臨床試験によって解決されています。カルシウム拮抗薬<span style="font-size: x-small;">(フェロジピンあるいはニカルジピン)</span>の経口投与では、グレープフルーツ(ジュース)の服用により血中濃度が増加しますが、<span style="font-size: x-small;">(消化管吸収過程が関与しない)</span>静脈内投与では、その体内動態<span style="font-size: x-small;">(血中濃度推移)</span>は変化しません。ミダゾラム、シクロスポリンでも同様でした。(*)</div>
<div>
このことは、グレープフルーツ(ジュース)の摂取は、消化管における解毒を特異的に阻害し、肝臓においてはほとんど阻害しないことを意味しています。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
この理由は、グレープフルーツ(ジュース)に含まれる酵素阻害物質が、消化管上皮細胞のみで働き、肝臓へは移行しないことによると考えられます<span style="font-size: x-small;">(酵素阻害物質は消化管内で代謝されることなどが示唆されています)</span>。</div>
<div>
しかし、多量のグレープフルーツ(ジュース)を長期間にわたって摂取した場合には、消化管のみではなく、肝臓にも阻害物質が移行して肝臓での代謝に阻害作用を与える可能性がありますので、注意が必要です。<br /><br />(*)<br /><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7628179" target="_blank">PMID:7628179 </a></div>
<div>
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7768070" target="_blank">PMID:7768070 </a></div>
<div>
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9174684" target="_blank">PMID:9174684</a></div>
<div>
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11214770" target="_blank">PMID:11214770</a></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-71671341726729100472018-07-16T11:48:00.003+09:002018-07-16T11:48:34.960+09:00グレープフルーツ(ジュース)に含まれるフラノクマリン類は、CYP3A4のみではなく、他のCYPアイソフォームに対しても阻害作用があると聞いていますが、CYP3A4の基質しか阻害されないのはどうしてですか?<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiM4kSlIzMRgoCzsRWz9LdxzbsxICNiT6QD9Zc9vdTlEV8AN7DKvZpWg2N2-NmKbJEj_DQMtnya4kmS6M_a_z-_mrOcXjOU_WTLduEvHWN_L0AS4qPOhxaPCoRPGHKHtjfMO9khzVvo_WM/s1600/ca34.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="431" data-original-width="1088" height="252" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiM4kSlIzMRgoCzsRWz9LdxzbsxICNiT6QD9Zc9vdTlEV8AN7DKvZpWg2N2-NmKbJEj_DQMtnya4kmS6M_a_z-_mrOcXjOU_WTLduEvHWN_L0AS4qPOhxaPCoRPGHKHtjfMO9khzVvo_WM/s640/ca34.PNG" width="640" /></a></div>
<br /><br />グレープフルーツジュース成分はCYP3A4以外のCYP分子種に対しても阻害作用を有することが、in vitroで示されています。<div>
しかしながら、小腸に存在するCYPはほとんどがCYP3A4であり、また相互作用は小腸でしか起こらないので、 CYP3A4で解毒代謝される薬剤のみがグレープフルーツジュースの影響を受けることになります。<br /><br /><br />代謝酵素であるP450には多くの分子種が存在します。ヒト肝ミクロソームへグレープフルーツジュースの酢酸エチル抽出物<span style="font-size: x-small;">(フラノクマリン類が含まれています)</span>を添加すると、CYP3A4活性<span style="font-size: x-small;">(ニフェジピン酸化を測定)</span>だけでなく、CYP1A2活性<span style="font-size: x-small;">(フェナセチン脱エチル化を測定)</span>、CYP2C9活性<span style="font-size: x-small;">(トルブタミド水酸化を測定)</span>、CYP2D6活性<span style="font-size: x-small;">(デキストロメトルファン脱メチル化を測定)</span>までも用量依存的に低下したことから、グレープフルーツジュース成分はCYP3A4以外の分子種に関しても阻害作用を有することが、in vitroレベルで示されています。<br /><br />さらに、CYP3A4、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19<span style="font-size: x-small;">(オメプラゾール 5-水酸化を測定)</span>、CYP2D6、CYP2E1<span style="font-size: x-small;">(クロルゾキサゾン 6-水酸化を測定)</span>の活性に対するフラノクマリン類の影響を観察したところ、CYP2E1を除く分子種で阻害作用が示され、フラノクマリン類が CYP3A4以外の分子種も阻害することがin vitroレベルで示されています。<br /><br />しかし、臨床試験では、グレープフルーツジュースはCYP3A4以外で代謝される薬物に対しては大きな阻害作用<span style="font-size: x-small;">(血中濃度の上昇作用)</span>が報告されていません。たとえば、CYP1A2で代謝されるテオフィリンやカフェイン、CYP2C19で代謝されるフェニトインやオメプラゾール<span style="font-size: x-small;">(オメプラゾールから 5-水酸化オメプラゾール)</span>、CYP2C9で代謝されるフェニトインなどでは、阻害作用が報告されていません。<br /><br />このin vitro試験とin vivo試験の乖離の理由については次のように考えることができます。ヒトの小腸には CYP1A1、CYP2C、CYP2D6、CYP2J2、CYP3A4などの複数のチトクロームP450分子種が検出されていますが、これらの分子種の中で含有量が一番多いのはCYP3A4です。</div>
<div>
一方で、グレープフルーツジュースの阻害作用は主に消化管のみで惹起することが知られています。</div>
<div>
<span style="font-size: x-small;">(カルシウム拮抗薬を静脈内投与した場合にはグレープフルーツジュース飲用の効果はなく、カルシウム拮抗薬を経口投与した時のみグレープフルーツジュースの効果が現れる)</span></div>
<div>
したがって、CYP3A4以外の酵素が肝臓にいくら存在していても、小腸に存在するCYPはほとんどがCYP3A4であり、相互作用は小腸のみで起こるので、CYP3A4で解毒代謝される薬剤のみがグレープフルーツジュースと相互作用を持つということになります。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
<br /></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-87475151842109290002018-07-16T11:13:00.003+09:002018-07-16T11:13:37.330+09:00フラノクマリン類によるカルシウム拮抗薬代謝酵素の阻害は、分子的にどのようになっていますか?<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjSjeg7v-hIIv8fX04AbW1bsGPEyRXD2UBkAVhM-O9Ol2x5QKxgK_NpuO9X1vp3t6Ny1A4YavmNC-NR87vXzuyIuHmotukg6FYgfMclp9rKMtQjoCvBJ0lkg3v626Ke6m4M6whO7plACfU/s1600/ca33.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="591" data-original-width="1141" height="330" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjSjeg7v-hIIv8fX04AbW1bsGPEyRXD2UBkAVhM-O9Ol2x5QKxgK_NpuO9X1vp3t6Ny1A4YavmNC-NR87vXzuyIuHmotukg6FYgfMclp9rKMtQjoCvBJ0lkg3v626Ke6m4M6whO7plACfU/s640/ca33.PNG" width="640" /></a></div>
<div>
<br /></div>
<div>
<br /></div>
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類がどのような分子メカニズムで消化管のチトクロームP450(CYP3A)を不可逆的に阻害するかは<b><span style="color: #741b47; font-size: large;">明らかになっていません</span></b>。<div>
<br /><div>
しかしながら、フラノクマリン類と同様の骨格を持つメトキシソラレンは、フラン環部が不安定なエポキシ体に代謝され、DNAやタンパク(CYPなど)と付加体を形成して不活性化するという報告があり、フラノクマリン類も同様のメカニズムでCYPの不活性化を行っているのではないかと考えられます。</div>
<div>
<br /></div>
<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20798279" target="_blank">PMID: 20798279</a><div>
<br /></div>
</div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-5576674233570376352018-07-16T09:43:00.000+09:002018-07-16T11:25:40.879+09:00グレープフルーツ(ジュース)摂取により、カルシウム拮抗薬の消化管からの吸収はどのようにして増加しますか?<br />
<div class="dsp_section_col_04" style="-webkit-text-stroke-width: 0px; color: #333333; font-family: "ヒラギノ角ゴPro W3", "Hiragino Kaku Gothic Pro", Osaka, "MS Pゴシック", "MS PGothic", Arial, Helvetica, Verdana, sans-serif; font-size: 13px; font-style: normal; font-variant-caps: normal; font-variant-ligatures: normal; font-weight: 400; letter-spacing: normal; margin: 15px 0px 0px; orphans: 2; padding: 0px; text-align: left; text-decoration-color: initial; text-decoration-style: initial; text-indent: 0px; text-transform: none; white-space: normal; widows: 2; word-spacing: 0px;">
</div>
グレープフルーツ(ジュース)に含まれる阻害成分(フラノクマリンが代表的阻害成分)によって<span style="color: purple; font-size: large;"><b>小腸における代謝酵素CYP3A4の機能が不可逆的に不活性化</b></span>されるため、消化管吸収時のカルシウム拮抗薬の代謝が減少し、吸収が増加します。<br />
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjBKK8rW_YTXM20-P0DC7bwTtJD6qbd1cKf2J-7qbPaNb3Ypl-XQNI8gfNSDDoZjreqAvvmzO27gPs78YhRyayT9zHrZHs-EY1QppOIE6NuzlAiWiJi6mXCZZM-exG5UDu8_ybM3DqGCUM/s1600/ca32.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="559" data-original-width="1182" height="302" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjBKK8rW_YTXM20-P0DC7bwTtJD6qbd1cKf2J-7qbPaNb3Ypl-XQNI8gfNSDDoZjreqAvvmzO27gPs78YhRyayT9zHrZHs-EY1QppOIE6NuzlAiWiJi6mXCZZM-exG5UDu8_ybM3DqGCUM/s640/ca32.PNG" width="640" /></a></div>
<br />
<br />
経口投与されたカルシウム拮抗薬は小腸上皮細胞から吸収され、血液中へ取り込まれます。<br />
<div>
小腸上皮細胞には薬物酸化代謝酵素の1つであるチトクローム P450(CYP3A4)が存在するため、吸収されたカルシウム拮抗薬は血液中へ移行する前に一部分が代謝・分解されます。</div>
<div>
カルシウム拮抗薬によっては、この「消化管上皮細胞での代謝・分解」を非常に強く受けるものがあります。</div>
<div>
その後、吸収された薬物は、一部が肝臓に取り込まれ、肝臓のCYP3A4によっても代謝・分解されます。</div>
<div>
グレープフルーツ(ジュース)を摂取すると、ジュース中に含まれる阻害成分によって小腸上皮細胞のCYP3A4の機能が不可逆的に損なわれ、そこでのカルシウム拮抗薬の解毒代謝ができなくなり、血液中へのカルシウム拮抗薬の吸収(移行)が増加することになります。この時、<b><span style="color: purple;">肝臓の CYP3A4は阻害されない</span></b>ことが分かっています。</div>
<br />
<br />
<h3>
グレープフルーツと免疫抑制薬</h3>
<br />
カルシウム拮抗薬は小腸上皮細胞に存在するCYP3A4によって代謝されます。<br />
<div>
しかしグレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリン類によってCYP3A4が不可逆的に阻害されることで、代謝ができなくなってしまいます。</div>
<div>
一方、免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス)に関しては、CYP3A4においてはカルシウム拮抗薬と同様ですが、グレープフルーツジュース成分によるp-糖タンパク質機能の分泌機能阻害も関与していると考えられています。</div>
<div>
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi1tHbjAEruYgfiRebsUH6pAUHtr-XSXUS9kBegLcDgrFZd_dQ9hRxcKUQcTLmeERBH54xkA1QAMnMTcM7UDdq_7bf9bWhlc2vaWB0FTJOUVRW9bYkiKXFh4CpbIw-es3-eNRTozc18A_E/s1600/ca321.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="586" data-original-width="1186" height="316" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi1tHbjAEruYgfiRebsUH6pAUHtr-XSXUS9kBegLcDgrFZd_dQ9hRxcKUQcTLmeERBH54xkA1QAMnMTcM7UDdq_7bf9bWhlc2vaWB0FTJOUVRW9bYkiKXFh4CpbIw-es3-eNRTozc18A_E/s640/ca321.PNG" width="640" /></a></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
</div>
しかし、最近行われたヒト試験において、P-糖タンパク質を介した相互作用の機序については、否定的な結果が出されています <a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=10227700&dopt=Abstract" target="_blank">(PMID:10227700)</a> <a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=11673746&dopt=Abstract" target="_blank">(PMID:11673746)</a> <a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=15903127&dopt=Abstract" target="_blank">(PMID:15903127)</a> 。グレープフルーツのP-糖タンパクを介した機構については現時点では明確でなく今後のさらなる検証が望まれます。<div>
<br /></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-91186519521150268562018-07-09T23:58:00.002+09:002018-07-15T22:56:48.122+09:00グレープフルーツ(ジュース)摂取により、カルシウム拮抗薬にどのような影響を与えますか?<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg3Zf7ogVQJzJG0E56xMviwqmH9_DwswTHazQFkZSAIZyupMYMZr027wqRqmd6y8C4GjZaFCVnIoC3u67auJUe2p56KcRoEz0kx1fr4tSqXujhAbudzq6Byq4tv4oOVHuRYHhmDDn2LydI/s1600/ca22.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="514" data-original-width="1138" height="288" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg3Zf7ogVQJzJG0E56xMviwqmH9_DwswTHazQFkZSAIZyupMYMZr027wqRqmd6y8C4GjZaFCVnIoC3u67auJUe2p56KcRoEz0kx1fr4tSqXujhAbudzq6Byq4tv4oOVHuRYHhmDDn2LydI/s640/ca22.PNG" width="640" /></a></div>
<br />
グレープフルーツ(ジュース)摂取によってカルシウム拮抗薬の消化管からの吸収が増加して血中濃度が上昇します。例えばカルシウム拮抗薬のニソルジピンをグレープフルーツジュースと一緒に服用した場合、水で服用した場合と比較して約4倍に血中濃度が上昇すると報告されています。<br />
<br />
<br />
<span style="font-size: x-small;"><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10741622" target="_blank">Takanaga H, Ohnishi A, Murakami H, Matsuo H, Higuchi S, Urae A, Irie S, Furuie H, Matsukuma K, Kimura M, Kawano K, Orii Y, Tanaka T, Sawada Y.Relationship between time after intake of grapefruit juice and the effect on pharmacokinetics and pharmacodynamics of nisoldipine in healthy subjects.Clin Pharmacol Ther. 2000 Mar;67(3):201-14.(PMID: 10741622)</a></span><br />
<div>
<br /></div>
<div>
またグレープフルーツジュースと一緒にニフェジピン徐放錠(アダラートCR
錠)20mgを服用した時では、Cmaxが約60%、AUCが 約30%増加したという報告もあります。<br />
<br />
<br />
<a href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscpt1970/32/1/32_1_23/_pdf/-char/ja" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">Effect of Grapefruit Juice on the Pharmacokinetics of Adalat CR. 臨床薬理 32(1), 23-33, 2001-01-31</span></a></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-77113360247918772272018-07-09T23:38:00.001+09:002018-07-09T23:39:07.503+09:00カルシウム拮抗薬との相互作用の原因となるのは、グレープフルーツ(ジュース)のどのような成分ですか?グレープフルーツ(ジュース)に含まれる阻害成分としては、種々のフラノクマリン類が知られています。<br />
<br />
これらの中で2量体のGF-I-1、GF-I-4はグレープフルーツ中の含量は少ないのですが、 阻害作用が強いと報告されています。<br />
<div>
またGF-I-2(ベルガモチン)、 ジヒドロキシベルガモチンの単量体は、阻害作用は弱いのですが、グレープフルーツ中の含量は多いようです。 </div>
<div>
報告されているin vitro実験によると、 これら個々の成分では、CYP3A4の阻害作用はグレープフルーツジュースの30~40%程度ですが、 これらが全部そろうことによりグレープフルーツジュースの阻害作用のうち、70%程度が説明できるということです。<br />
<br />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEivQgBSXHGu3R-Wkxxb6w0eoIiH9dLlqBeSZu7zlPJh-qRCj6AfmpKBGtqmBCAYGB8MY0eGJr9OUx1u_5gGQiJJ6q6uCJAfqiubEyHp67WMVA4WAjA7co5dSYL_dgiBBWkRhI4mwySKf8Y/s1600/flanokumaline.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" data-original-height="730" data-original-width="708" height="640" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEivQgBSXHGu3R-Wkxxb6w0eoIiH9dLlqBeSZu7zlPJh-qRCj6AfmpKBGtqmBCAYGB8MY0eGJr9OUx1u_5gGQiJJ6q6uCJAfqiubEyHp67WMVA4WAjA7co5dSYL_dgiBBWkRhI4mwySKf8Y/s640/flanokumaline.PNG" width="620" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;"><span style="font-size: xx-small;">Fig. <span style="color: #737373; font-family: "arial" , "helvetica" , "lucida sans unicode" , "microsoft sans serif" , "segoe ui symbol" , "stixgeneral" , "cambria math" , "arial unicode ms" , sans-serif; text-align: start;"> </span><span style="color: #737373; font-family: "arial" , "helvetica" , "lucida sans unicode" , "microsoft sans serif" , "segoe ui symbol" , "stixgeneral" , "cambria math" , "arial unicode ms" , sans-serif; text-align: start;">Furanocoumarins with P-gp & CYP inhibitory effect.</span></span></td></tr>
</tbody></table>
<br /></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-30191409323507078872018-07-09T23:09:00.001+09:002018-07-15T23:19:43.927+09:00カルシウム拮抗薬との相互作用の原因物質は、グレープフルーツの果実のどの部分に含まれていますか?<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjz5Akbtwd9ZYEUxt3or7E_UK8_GDAp1y6QTPuHDAuUSAVG1Jbc89T9UfHFdKNbYUxZ3piikfha9HtHVUfblZYOPxZBl1f_hfyEkdWAXDSWpBTPnKS8avSTZN1il9_PBWJ3aTyTCz4SOuE/s1600/ca23.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="590" data-original-width="1193" height="316" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjz5Akbtwd9ZYEUxt3or7E_UK8_GDAp1y6QTPuHDAuUSAVG1Jbc89T9UfHFdKNbYUxZ3piikfha9HtHVUfblZYOPxZBl1f_hfyEkdWAXDSWpBTPnKS8avSTZN1il9_PBWJ3aTyTCz4SOuE/s640/ca23.PNG" width="640" /></a></div>
<br />
<br />
グレープフルーツ(ジュース)中に含まれる阻害成分であるフラノクマリン誘導体のGF-I-1(2量体)、GF-I-2(ベルガモチン)、GF-I- 4(2量体)、ジヒドロキシベルガモチンなどは、ホワイトタイプ、ルビータイプのグレープフルーツともに<b><span style="color: #741b47;">果肉に大部分存在</span></b>し、袋、皮、種には少量しか含まれていないことが報告されています。YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-24403083902569433292018-07-09T23:08:00.000+09:002018-07-09T23:21:58.295+09:00カルシウム拮抗薬とグレープフルーツの相互作用は、グレープフルーツ(ジュース)に含まれるフラノクマリン類のみで説明できますか?ジュース中に含まれるフラノクマリン類だけで、グレープフルーツジュースの代謝阻害作用は<b><span style="color: #741b47;">ほとんどが説明できる</span></b>と考えられています。<br />
<div>
グレープフルーツジュースと同濃度の6種類のフラノクマリンを含む溶液を調製し、CYP3A活性に対する阻害作用を調べたところ、それぞれのフラノクマリン類単独では阻害作用は弱かったが、6種のフラノクマリン類を全て添加した溶液では、グレープフルーツジュースと同程度の阻害作用が示されたと報告されています。<br />
<br />
市販のグレープフルーツジュースおよび関連柑橘類ジュースに含まれるフラノクマリン類の濃度を測定し、個々のジュースでヒト肝ミクロソームCYP3Aの代謝機能阻害を測定した研究があります。</div>
<div>
その結果、<b>オレンジジュースはフラノクマリン類を含まず、CYP3A活性に対する阻害もほとんどみられません</b>。</div>
<div>
一方、グレープフルーツジュースでは、商品間でフラノクマリン含量が異なるものの、含量の高いもので70%、低いもので50%程度、CYP3A4を阻害することが示されています。</div>
<div>
キリントロピカーナ®<span style="font-size: x-small;">(阻害作用が強かった)</span>と同濃度の6種のフラノクマリンを含む溶液<span style="font-size: x-small;">(グレープフルーツジュース"もどき")</span>を調製し、CYP3A活性に対する阻害作用を調べたところ、それぞれのフラノクマリン類を単独で添加した溶液では阻害作用は低かったが、6種のフラノクマリン類を全て添加した溶液では、グレープフルーツジュースと同程度の阻害作用が観察されたと報告されています。</div>
<div>
したがって、ジュース中に含まれるフラノクマリン類だけで、グレープフルーツジュースの阻害はほとんどが説明できると考えられます。<br />
<br />
ちなみに、薬物によるCYP活性の低下は、可逆的な競合阻害と不可逆的な酵素修飾による不活性化の両方によって起きると考えられます。</div>
<div>
ジュースを含むそれぞれの溶液とヒト肝ミクロソームをあらかじめ15分間反応させると、阻害活性が顕著に亢進することが示されています(GF-I-2は除く)。</div>
<div>
この現象は可逆的な阻害だけでは説明がつかず、グレープフルーツジュースによる代謝阻害に不可逆的な酵素の失活が関係していることを示しています。</div>
<div>
<br /></div>
<a href="http://dmd.aspetjournals.org/content/28/7/766" target="_blank"><span style="font-size: x-small;">Guo LQ, Fukuda K, Ohta T, Yamazoe Y.Role of furanocoumarin derivatives on grapefruit juice-mediated inhibition of human CYP3A activity.Drug Metab Dispos. 2000 Jul;28(7):766-71.</span></a>YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-83718099434224398422018-07-09T23:01:00.000+09:002018-07-09T23:04:07.886+09:00カルシウム拮抗薬との相互作用の原因物質は、グレープフルーツ(ジュース)中のフラボノイドですか?ナリンジンをはじめとする<b><span style="color: purple;">フラボノイド類は相互作用の原因物質ではない</span></b>と考えられます。<br />
<div>
フラボノイド類はグレープフルーツジュース中に大量に含まれ、かつ、ヒトのチトクロームP450(CYP3A4) の強力な阻害物質であることが、in vitro実験より明らかにされています。</div>
<div>
しかしin vitro 実験の結果とは異なり、in vivo試験においては、ナリンジンの水溶液やカプセル剤を投与しても、 ニソルジピン、フェロジピン、あるいはニトレンジピンの体内動態はほとんど変化しなかったことから、 フラボノイド類は相互作用の原因物質ではないと考えられます。<br />
<br />
グレープフルーツジュースはナリンジン、ネオエリオシトリン、ルチンなどのフラノボイド類を含み、なかでもナリンジンはジュース1 L中に約800 mgと大量に含まれています。</div>
<div>
これらフラボノイド類は、ヒトのチトクロームP450<span style="font-size: x-small;">(CYP3A4)</span>の強力な阻害物質であることが、ヒト肝ミクロソームを用いた in vitro 実験より明らかにされています。</div>
<div>
この報告によると、ナリンジンよりもナリンゲニンの阻害作用が強いとされています。</div>
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このことは、ヒト肝ミクロソームの CYP3A4に対するグレープフルーツジュースの阻害作用が、ナリンジナーゼ<span style="font-size: x-small;">(ナリンジンからナリンゲニンを生成する酵素)</span>とのインキュベーションによって上昇することからも示されています。<br />
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しかしながら、上記のin vitro実験の結果とは異なり、in vivo試験によると、ナリンジンやそのアグリコンであるナリンゲニンは、グレープフルーツジュース中の主な阻害物質ではないという報告があります。</div>
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<b><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8275614" target="_blank">Baileyらによって実施された3種の臨床試験</a></b>(*1)では、ナリンジンの水溶液やカプセル剤をグレープフルーツジュース飲用時と同用量投与しても、ニソルジピン、フェロジピン、あるいはニトレンジピンの体内動態にはほとんど影響を及ぼさなかったと報告されています。</div>
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グレープフルーツジュースとの相互作用はフェロジピンの通常製剤でも、吸収が腸の下部にまでわたると考えられる徐放性製剤でも同様に生ずることが示されています。</div>
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ここでもし、ナリンジンからナリンゲニンへの変換に糞便中に存在する腸内細菌が必要とされるならば、グレープフルーツジュースの効果は小腸よりも大腸の酵素に対して影響すると考えられますが、<b><a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9153299" target="_blank">Lownらの研究結果</a></b>(*2)では、グレープフルーツジュースの相互作用の部位は小腸であると明らかに示されています。</div>
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以上の知見より、グレープフルーツジュース中のナリンジンが相互作用の原因である可能性は低いと考えられます。</div>
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また、ニフェジピンの血漿中濃度推移に対するケルセチンの影響がヒトにおいて検討されています。</div>
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ここでも、ニフェジピンのAUCは、200 mLのグレープフルーツジュースにより増加するが、400 mgのケルセチン<span style="font-size: x-small;">(グレープフルーツジュースに含有されている量の40倍以上)</span>では、全く変化していません。<br />
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in vivo においてナリンジン、ナリンゲニン、ケルセチンの阻害作用が観測されないのは、阻害活性が弱い<span style="font-size: x-small;">(Ki値が大きい)</span>か、あるいはそれ自身の代謝分解が考えられますが、それらについては今後の検討が必要です。</div>
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またフラノクマリンによる阻害は、CYP3A4を不可逆的に不活性化する"mechanism-based inactivation"であるとされており、かなり強力な阻害作用を示しているのに対し、フラボノイド類の阻害は単なる競合阻害である可能性も考えられます。</div>
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これらは今後の検討課題となります。</div>
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<span style="font-size: x-small;">(*1) Bailey DG, Arnold JM, Strong HA, Munoz C, Spence JD. Effect of grapefruit juice and naringin on nisoldipine pharmacokinetics. Clin Pharmacol Ther. 54(6):589-94, 1993 (PMID:8275614)</span><br />
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<span style="font-size: x-small;"><br /></span></div>
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<span style="font-size: x-small;">(*2) Lown KS, Bailey DG, Fontana RJ, Janardan SK, Adair CH, Fortlage LA, Brown MB, Guo W, Watkins PB. Grapefruit juice--felodipine interaction: mechanism, predictability, and effect of naringin.J Clin Invest. 1997 May 15;99(10):2545-53.(PMID:9153299 )</span></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-3328422516356478881.post-61278470867903541692018-07-08T11:39:00.000+09:002018-07-08T11:46:57.209+09:00グレープフルーツ(ジュース)と薬剤との相互作用が明らかとなったのはどうしてですか?1989年、カナダ、オンタリオ州にあるビクトリア病院のBailey博士らは飲酒(アルコール摂取)が、 カルシウム拮抗薬であるフェロジピンの薬物作用や 体内動態にどのような影響を及ぼすかを検討していました。<br />
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彼らは、<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2612087" rel="nofollow" target="_blank">フェロジピンとアルコールの相互作用に関する臨床試験</a>(*1)を 実施するために、正常高値血圧の患者にアルコールおよびフェロジピン(5 mg)を服用してもらいました。<br />
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薬剤の服用時にアルコールの存在を患者に分からせないため、また口当たりをよくするために、 グレープフルーツジュース(アルコールを含有したものおよび含有していないものの2種を調製) を飲用してもらいました。</div>
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しかし、奇妙なことにアルコールの併用、 非併用にかかわらずフェロジピンの血漿中濃度が過去に報告されている通常値より 3 倍高いことが明らかとなったのです。</div>
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アルコール摂取時において、フェロジピンの血漿中濃度測定に 問題が生じたのではないかと定量方法が精査されましたが特に問題がないことが明らかとなりました。</div>
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他の唯一の要因としてグレープフルーツジュースがフェロジピンの体内動態に影響を及ぼしたのではないかと考えられ、<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9153299" target="_blank">グレープフルーツジュースのみの直接的な影響を検討</a>(*2)したところ、 原因はグレープフルーツジュースの飲用であったことが判明しました。<br />
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<span style="font-size: x-small;"><br />(*1) Bailey DG, Spence JD, Edgar B et.al., Ethanol enhance the hemodynamic effects of felodipine. Clin.Invest.Med.12:367-362,1989(PMID: 2612087)</span><br />
<span style="font-size: x-small;">(*2) Lown KS, Bailey DG, Fontana RJ, Janardan SK, Adair CH, Fortlage LA, Brown MB, Guo W, Watkins PB. Grapefruit juice increases felodipine oral availability in humans by decreasing intestinal CYP3A protein expression. J Clin Invest. 99(10):2545-53,1997</span><span style="font-size: x-small;">(PMID: 9153299)</span></div>
YG研究会http://www.blogger.com/profile/09614356469393328027noreply@blogger.com